2015年12月19日土曜日

アルジャーノンに花束を 新版

 1989年4月に早川書房より単行本(改訂版)として刊行されたものを1999年10月にダニエル・キイス文庫版に収録し、NV文庫の新版として刊行したもの。
 活字が読みやすい「トールサイズ」。
 原書は「FLOWERS FOR ALGERNON」1959,1966
32歳のチャーリー・ゴードンは知的障害を抱えていたが、学習意欲にあふれ、利口になりたいと願っていた。
 彼は知能を高める実験に参加し、手術を受ける。利口になれば世界はもっとすばらしくなると思っていたチャーリーだが、知能の上昇は彼に今まで気づかなかったことに気づかせることになる。
 知的障害者という自分をまわりの人間がどのように扱っていたのか、そして母親に虐待されていた過去の記憶。
 経過報告という形でつづられた彼の言葉。そこには知能を高めることだけが幸せでないと気づく彼の姿が記されている。
 ハッピーエンドではないが、最後の経過報告で彼の人生に起きた一連のできごとが、彼にとってまったくの不幸ではなかったことがわかり、少しだけほっとする。

著者 ダニエル・キイス(Daniel Keyes)
訳者 小尾芙佐
発行年 2015-3
ISBN 978-4-15-041333-0
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