2016年3月5日土曜日

新訳 ヒトラーとは何か

 原書は「ANMERKUNGEN ZU HITLER」1978年。
 ヒトラー全盛期の時代を肌で知る著者によって書かれたヒトラーの評伝本。
 ドイツが東西に分かれていた冷戦中に書かれたもの。
 皮肉るような口調で語りつつも、狂人・戦争犯罪者としてのみ見るのではなく、客観的にヒトラーという存在が何だったのか語ろうとしている。
 大戦前からヒトラーがどのような行動を行い、なぜあのような結末となったのか、ヒトラー個人と当時のドイツやヨーロッパの人々の思考をもとにつづっている。
 平易な文章で書かれているが、ある程度の歴史やヒトラーについて知っているうえで話が進むため、まったく知識がないとついていくことは難しい。
 個人の意思と能力が世相と一致して独裁者が生まれ、破滅へと向かうとどうなるかわかる本。

著者 セバスチャン・ハフナー(Sebastian Haffner)
訳者 瀬野文教
発行年 2013-1
ISBN 978-4-7942-1948-0